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気温上昇による雪どけ災害に注意

2023年05月08日


 

これからの季節は、気温上昇による雪どけ災害に注意が必要です。このコラムでは、2022~2023年冬に降った雪の量を振り返り、注意が必要な雪解け災害、現場で事前に確認する際の情報について解説します。

 

2022~2023年シーズンの雪の量は?

2022年12月下旬と2023年1月下旬の2回、強い寒気が流れ込んだ影響で、日本海側の地域や一部の太平洋側の地域では、交通機関に影響が出るような大雪に見舞われました。

この冬(2022年12月~2023年2月)に降った雪の量を見てみると、西日本の太平洋側では平年の1.5倍以上とかなり多く、そのほかの地域も平年と同じ程度になりました。





2022年12月下旬に、高知県高知市で観測史上第一位となる最深積雪14cmを観測したことは、記憶に新しいかと思います。

 

注意が必要な雪どけ災害は二つ

注意して頂きたい雪どけ災害の一つ目は「融雪洪水」です。
春は、梅雨時や台風シーズンとは違い、大雨により河川が増水するケースは、あまり多くありません。気温の上昇により、山にたくさん積もった雪がとけ出し、この雪どけ水が、河川を増水させる要因になるのです。
融雪期を迎える3月~5月にかけては、豪雪地帯周辺の川では、毎日数10mmの雨量に相当する雪どけ水が流れ出し、最盛期には日雨量50mmに達することも珍しくないと言われています。このため、晴れて気温が上がると、雨が降っている時と同じように河川の水位が上昇することがあります。さらに、普段では影響が出るほどではない少量の雨でも、雪どけ水と合わさることにより、水位の急上昇につながります。

雪どけ災害の二つ目は「土砂災害」です。
こちらも雪どけ水が関係しています。大量の水が土の中に染み込み地盤が緩む影響で、土砂災害の発生に繋がってしまうのです。令和4年度の積雪・融雪による土砂災害の発生件数は全国で12件あり、新潟県などの東日本日本海側の地域で地すべり・がけ崩れの発生が報告されています。

 

雪どけ災害の危険を事前に把握するには

融雪に関する災害が発生する可能性がある場合、気象庁では「気象情報」の発表を行い、融雪に伴う災害への警戒を呼び掛けています。また、現場の所属する市区町村で「洪水警報」や「融雪注意報」が発表され、警戒が呼び掛けられています。





気象リスク管理モバイル「KIYOMASA PRO」では、「気象情報」また「注警報」が発表されている場合は、アイコンが黄色く光り、サイトTOPを開いただけで、情報の有無を確認する事ができます。アイコンが点灯中の場合は、融雪に関する防災情報や、融雪注意報が発表されていないか確認し、注意が必要な時間帯をチェックしましょう。 また、融雪注意報については、発表・解除時にアラート通知を受け取ることも可能です。

加えて、災害リスク事前調査「ハザード・プレサーチ」というサービスでは、過去の異常出水についての調査を行うことも可能です。過去の雨量や水位観測データを調べ、過去に現場周辺で融雪による水位上昇があったのか、上流部にどの程度の雨が降ると水位が上昇していたのかなど、気象予報士がレポート形式でポイントを解説しています。

 

まとめ

・気温上昇により、雨が降っていなくても河川の増水や土砂災害の危険がある

・雪どけ災害の可能性は、気象情報や注警報で事前に把握し対策を

出典:
気象庁 令和5年報道発表資料 冬(12~2月)の天候 
国土交通省 令和4年の土砂災害